広報誌「さいたま」2024年8月 No.293
園芸研究家●成松次郎
最近、各地でこれまでに経験したことのないような猛暑や大雨に見舞われることが増えています。このような異常気象の対策を家庭菜園でも考えてみましょう。
[高温対策]
①遮光
強い日差しで温度が上がり、発芽障害や幼苗に葉焼けを起こすことがあります。まき床の上によしずをかけたり、寒冷しゃのトンネルで遮光します(図1)。ただし、遮光し過ぎると苗が徒長するので、適度な遮光が必要です。遮光資材は、遮光率50%程度を選び、夜間や曇雨天時は取り除くのが良いでしょう。終日にわたる遮光では20%程度のものを使います。
②灌水(かんすい)
夏の水やりは早朝や夕方に行うのが原則です。日中の灌水は、お湯をかけるようになり、茎葉を傷めることがあります。水が十分にあれば、畝間の灌水も有効です。
③マルチ
土の乾燥防止のため、地面に敷きわらやポリフィルムでマルチをして、蒸散を防ぎます。白や銀色の光を反射するフィルムは、地温を下げる効果もあります。
[強風対策]
①防風ネットの設置
風上側に防風ネットを設置するとネットの高さの約10倍の距離まで減風効果があります。具体的には網目4mm程度、高さ1m程度のネットが良いでしょう(図2)。非常に大きな風圧がかかるため、ネットを支える支柱は丈夫な単管パイプなどを使います。
②早期の収穫
トマトでは着色を始めた果実、ナス、キュウリはやや小さくても収穫します。トマトは収穫の終わった下の葉を取り除いて、少しでも風圧を避けましょう。
③支柱の補強
トマト、ナスなどの支柱はしっかり固定し直し、斜め支柱で補強します。台風が予想されるときは、トマトでは支柱を外して茎葉を倒しておきます。ゴーヤーなどのグリーンカーテンは、上のひもをほどいて落としておくことも考えましょう。
④べたがけ
幼苗が風で振り回されると葉がちぎれたりしますので、不織布のべたがけは幼苗の保護に効果があります。台風時には防風ネットを草丈の低い野菜にべたがけし、飛ばされないように押さえます。
[大雨対策]
①排水を良好に
速やかに水が引くように、菜園の周囲と畝間に排水溝を作っておきます。
②高畝
水田転換の畑など水がたまりやすい畑では、高畝にします。種まき直後は、種の流出を防ぐため、不織布のべたがけで保護します。
③雨よけ
ビニールトンネルで雨よけができますが、夏は裾を開けて十分な換気が必要です。トマトでは鉄パイプで軒高のある雨傘を作れば、果実の裂果対策にもなります(図3)。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。