広報誌「さいたま」2024年10月 No.295
園芸研究家●成松次郎
「緑肥」は青刈りして土壌にすき込み、土壌を肥沃(ひよく)にする目的で栽培される「緑の肥料」です。「対抗植物」は特定の病害虫を防除するために栽培し、土壌中の寄生性センチュウや病原菌の密度を下げ、被害を減らすことができます。
これらの植物は種類によっては、両方の働きをします。共通点は、土壌の改善と同時に、畑の生態系を多様にし、土着天敵などを活用して病害虫を抑えられることです。
[緑肥]
有機物が微生物に分解されて腐植が作られ、団粒構造の形成、透水性の向上で野菜の根の環境が改善されます。マメ科は根粒菌により空気中の窒素を固定し、土壌が肥沃となります。
秋まきでは、裸地になるのを防ぐためにもイネ科のエン麦やライ麦をまき、また、マメ科のクローバー、ヘアリーベッチ(図1)では、翌年花を楽しんだ後にすき込みます。春まきではイネ科のソルガム(図2)、ギニアグラスなどを栽培し、夏に茎葉をくわや耕運機で2、3回すき込みます。その後、キャベツやブロッコリーなどが植え付けできます。イネ科作物は草丈が伸び、土づくり効果以外にも害虫の飛来阻止(隔離)、防風などの障壁効果も期待できます。
[対抗植物]
ネコブセンチュウは、根にこぶを作って養水分の吸収を妨げて生育を阻害します。このセンチュウは地温の高い夏~秋に増殖し、ウリ科をはじめ多くの野菜に被害を与えます。マリーゴールドやクロタラリアなどの対抗植物を春にまき、3カ月程度育てれば、センチュウ密度を下げることができます。ダイコンのキタネグサレセンチュウはマリーゴールドなどを作付けすることで被害を軽減できます。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。