JAさいたま広報誌2014.6 No.171より
板木技術士事務所●板木利隆
春まきした白ネギ(根深ネギ)の苗は日増しに大きく育ち、盛夏に入るころには本畑へ定植します。長くよく締まった軟白部を多く作り上げるポイントは、次の4点です。
畑に条まきして育てている苗は、密な所を間引き、2~3cm間隔でしっかり仕上げます。このころアブラムシやネギアザミウマなどの害虫や、さび病、べと病などが発生しやすいので、殺虫剤(粒剤)を株元に、殺菌剤に展着剤を加えて全体に散布し、防除に努めましょう。
苗の直径が1cm以上に育ったら本畑に植え付けます。図のように80~90cm間隔に、丁寧にくわ幅の溝を作ります。溝が崩れないように作るには、前作が終わって空いた畑は、表面の草、残葉などきれいに整理し、耕さないで、地面を固くしておくことです。苗を大小二つに分け、そろえてから3~4cm間隔に、壁面に立て掛けて植え付けます。
植えた後、根元に2cmの厚さに土を入れ、苗が倒れないように足で踏みつけておきます。その後すぐに溝いっぱいに稲わら、干し草などを入れて乾燥を防ぎます。植え付け時には肥料はまったく与えず、新根の発生を促します。
夏の暑さが遠のき始めるとネギは生育を始め、新葉が増えます。このころ溝の肩の部分に、肥料(有機配合、化成肥料など)を施し、くわで軽く土と混ぜ合わせて、溝の中へ落とし入れます。
9月下旬ころから盛んに成長しますので、第2回、第3回と逐次追肥、土寄せを行います。全体的には追肥の重点は前半に、土寄せは後半に、長い軟白部が多くなるように仕上げます。
土寄せしてから軟白部が仕上がるまでには、中~晩秋で40日ほどかかりますので、正月を狙って収穫するには11月中旬に最後の土寄せを完成するように心掛けましょう。
台風シーズンが肝心な育成ステージに当たります。台風に見舞われたら、早めに畑を見回り、植え溝内の排水を図ります。ネギの根は乾燥には強いですが過湿には大変弱いので、対策は急を要します。風による倒れは曲がりの原因になりますから、できるだけ早く起こし、姿勢を直して不良品の発生を食い止めましょう。