JAさいたま広報誌2014.1 No.166より
板木技術士事務所●板木利隆
西アジアが原産で世界各地に広がり、日本へは東洋種が中国から、その後西洋種がヨーロッパから伝わり、現在は両者の交配種が主流で、品種改良により新品種が次々とお目見えしています。
カロテンやミネラルが豊富で、緑黄色野菜の中でも栄養価は抜群。鉄・マグネシウム・マンガン・亜鉛などのミネラル類、ビタミンB1・ビタミンC・葉酸などを豊富に含み、貧血予防にも有効とされています。
葉物野菜の中でもホウレンソウは鮮度が命、葉先から水分がどんどん蒸発してしまうので、取りたての新鮮なうちに調理したいもの。家庭菜園取りが大変魅力的です。
畑の準備に当たっては、ホウレンソウは酸性土壌を最も嫌う作物であること(好適pHは6・3〜7・0)を心得、石灰を多めに施用することと、畑の周囲の排水を図り、まき溝に水たまりしないように、凹凸なく丁寧に作るようにします。
まきどきは春先のトンネル栽培の2月上旬(関東南部の平たん地、以下同じ)から10月中旬までの広範にわたりますが、ホウレンソウは低温には強い(生育停止温度は0度だがマイナス10度までは寒害を受けない)のですが、高温には比較的弱い(30度になると生育停止)こと、日長が長い時期(13時間以上)あるいは外灯の照明下などにまくと、とう立ちすることをよく認識してまきどきを選ぶことが大切です。
露地栽培で育てやすいのは9月上旬から10月上旬の秋冬取りと、3〜5月の初夏取りです。ただし、春まきは長日条件に入るので、春まき用の晩抽性(とう立ちしにくい品種)を選ぶことが大切です。
ホウレンソウの種子は堅い果皮の殻に包まれていますので、過湿の畑では果皮が水を吸い過ぎ、内部が酸欠になり発芽しにくくなってしまいます。多雨の後はまき溝に水たまりしていないか気配りをしましょう。発芽しやすいように果皮を取り除いたり、削って薄くした種子も販売されています。これらは発芽しやすいですが、種子を保護する力が弱いので、乾燥期には発芽するまでの灌水(かんすい)を怠らないように注意しましょう。本葉2枚で間引いて株間を2cmほどになるようにし、株元に少し土寄せします。その後1〜2回間引きして、最終株間を6〜7cmとし、草丈5〜6cmのころと10cmぐらいのころ、条間に化成肥料と油かすを追肥し、中耕して土を和らげます。草丈が20cmぐらいになったら収穫適期です。