JAさいたま広報誌 2013.05 No.158より
板木技術士事務所●板木利隆
豊富な栄養やリコピンの抗酸化作用があり諸病の予防効果もあるとされるトマト。生食はもとよりジュース、煮物やみそ汁、乾燥しても使え、人気は野菜の中でも抜群です。
種類は大玉系、中玉(ミディ)系、小玉(ミニ)系とあり、品種も実に多彩ですが、作りこなしたいのは何といっても大玉系です。難しいが故に、成功の喜びはまたひとしおです。
上手に作り上げるポイントは次の四つです。
(1)元肥は畝の中央に深めに、有機質資材、肥料をしっかり施す。
(2)1~2花咲くまで大苗に仕上げてから植え付ける。
(3)第1花房の1番果が、ピンポン玉よりひと回り大きく(径5~6cm以上)なるまで追肥を控える。
(4)芽かきは遅れずに、長期に取る場合も入念にかき取る。
4項目を順を追って説明すると、(1)の元肥は、縦型に深く分布するトマトの根系を、しっかり伸ばすことにより過乾、過湿に耐える健全な育ちを図ることができ、各花房の果実を確実に着果、肥大させ、尻腐れなどの障害の発生を少なくさせます。稲わらや雑草、芋づるなどの良質堆肥と、油かす、魚かすなどを、30cmぐらいの深さの溝に十分施しておくことです。
(2)の植え付け時の花の咲き具合は極めて重要です。第1花房を確実に着果させるには若苗定植は禁物。1段が着果すればその後の2段、3段もよく付き、バランスの良い生育ぶりを示すことになります。できるだけ着果ホルモンを散布しますが、振動受粉(指先ではじく)も有効。
(3)の追肥時期については、早く施し過ぎると窒素成分が効き過ぎ、茎葉の徒長を招いてしまいます。第1花房が確実に肥大するのを見届けてから追肥をすれば徒長することなく、その後の花房の果実もバランス良く肥大させることができます。遅れ過ぎると草勢が弱まり、上の方の花房の肥大を損ねます。
(4)の芽かきは、わき芽が3~5cmの長さになる前に必ず行うようにしましょう。毎日、少なくとも1日置きぐらいに入念に行うことです。特に5~6段以上も長期に取り続けようとする場合には、摘芯した後上方各節から出るものも入念に取り除くことが、良い果実に肥大させるポイントとなります。
この基本の他に当然病害虫の発生を防ぐことが大切です。初発生は局部的ですので、早期に薬剤散布して防ぐようにしましょう。