JAさいたま広報誌 2013.02 No.155より
板木技術士事務所●板木利隆
カブは縄文時代の後期に渡来したとされる古い野菜で、長い歴史の中で全国各地に根付き、好みや用途に合わせて、多くの地方品種が生まれてきました。中でも小カブ(金町系)は品種改良が進んでおり、生育期間が短かく、形もよくそろうので、家庭菜園にはお薦めです。
丸く膨らんだ球(胚軸)の方は大部分が水分ですが、ビタミンCやカリウムが比較的多く、ジアスターゼが含まれているので、胃もたれや胸やけなどにも有効。根よりも栄養価が高いのが葉の部分で、カロテンの他、ビタミン類やカルシウムなどにも富むので、有効に使いましょう。
2月は、初旬に立春が訪れるとはいえ、平年なら1月下旬からの寒気の厳しい時期です。最低気温もこの頃に現れ、霜も降りるので、種まきできる時期ではありませんが、プラスチックフィルムをトンネル状に覆い、密閉すれば、多くの地域(関東南部以西の平たんな温暖地、北関東以北の寒・高冷地では3~4旬遅れ)で、春一番の小カブの種まきができます。
育て方は、できるだけ早めに図のように1.2m幅のベッドを作り、全面に良質の完熟堆肥、油かす、化成肥料をばらまき、15cmほどの深さに耕し込んでおきます。そしてくわ幅よりやや広めにまき溝を3列作り、溝底を平らにならします。畑が乾いていたら、溝の外にはみ出さないよう、はす口を付けたじょうろで十分灌水(かんすい)しておきます。種まき後すぐにフィルムを密閉するので、当分水分を保つようたっぷり湿らせておくことが肝要。
種まきは、種子が小さいので、厚まきにならないよう注意し、1.5~2cm間隔の薄まきとし、1cm厚ぐらいに覆土、くわの背で軽く填圧(てんあつ)し、全面に灌水してからフィルムをトンネル状に覆い、裾には十分土を掛けて密閉し、地温上昇を図り、発芽と初期生育を促します。
発芽して本葉1~2枚に育ったならトンネル頂部に小穴を開けて換気状態にし、さらに内部が30度を超えるようになったら裾を開けて換気し、温度の上がり過ぎを防ぎます。
育つにつれて、株間が込み合わないよう逐次間引き、灌水も行って乾き過ぎないよう管理します。生育中は2回ほど、列の間に化成肥料を施し、軽く土に耕し込みます。
間引いたものは小さくても有効に利用しながら、最終株間を7~8cmぐらいにします。十分暖かくなったらトンネルを取り外し、外気に慣らし、球茎が5cm内外ほどに肥大したものから順次収穫し利用します。