JAさいたま広報誌2014.10 No.175より
板木技術士事務所●板木利隆
夏から秋にかけて盛んに育ってきたサツマイモは、晩秋に入ると収穫の時期を迎えます。芋(塊根)の肥大経過をたどってみると、通常8~9月に半数以上の芋が50g以上ぐらいになり、その後急生長し、10月中旬~11月に入ると肥大が緩やかになりますが、霜が降りるころまで太り続けます。
自家菜園では必要に応じて探り掘り(株元に手を差し込み、適当に太った芋だけを掘り取る)あるいは早掘り(株全部を掘り取る)して、早くから秋の味覚を楽しむようにしましょう。
本格的な収穫の適期は初霜が降り始めるころです。初霜の予想は難しいのですが、たちまち若い葉が枯れ始めるので、見分けやすいです。こうなったらすぐに掘り上げれば大丈夫です。できるだけ畑が乾いているときを選ぶようにしましょう。
収穫の手順は、まずつるの地際部分(地上4~5cm残し)を鎌で刈り取り、つるを畑の外に選び出し畝(うね)を丸裸にし、マルチフィルムを剥がしてから、芋を傷つけないように注意して株元に大きくくわを打ち込み、芋を掘り出します。
このとき注意すべきことは、つるは強大で絡み合っているので、畑にあるうちに50~60cmほどの長さにくわで切り分けて、運搬しやすくしておくことと、貯蔵予定の芋はつるから外さないよう、容器に入れて丁寧に持ち運ぶようにすることです。
サツマイモは掘り上げてすぐよりも4~5日乾かして食べるのがおいしいので、収穫の日時や取り扱いにもいろいろ配慮してみてください。
貯蔵方法は、多量の場合には水はけの良い畑を選び、図のように深さ70~80cmの穴を掘り、稲わらを敷き、つるに付いたままの芋を傷つけないよう丁寧に重ね入れ、上にも稲わら、もみ殻を覆います。適温は13度、湿度は90%が目安です。また、初期には呼吸熱が発生しやすいので、筒状の通気筒を差し込んでおくとよいでしょう。これは後に取り外しますが、条件測定のため温度計を取り付けておくとよいでしょう。穴の上には土を盛り上げ、稲わらを覆い雨水が浸入しないよう留意します。
少量の貯蔵なら、芋を新聞紙にくるんで保温性の高い発泡スチロールの箱に入れ、室内に置くだけで十分です。この場合も通気を図るため箱に小穴を空けておきます。