広報誌「さいたま」2020年10月 No.247号より
園芸研究家●成松次郎
コマツナは耐寒性があり、冬の寒さで特においしくなります。ビタミン類、カルシウム、鉄分を多く含む緑黄色野菜です。
[品種]近年は葉が丸く、緑が濃い品種が好まれ、秋冬まきでは「はまつづき」(サカタのタネ)、「楽天」(タキイ種苗)、春夏まきでは「いなむら」(サカタのタネ)、「菜々音」(タキイ種苗)などが良いでしょう。
[栽培期間]一般地ではほぼ周年栽培でき、草丈20〜25cmを目標に、春まき(3〜5月)は30〜50日、夏まき(6〜8月)は20〜25日、秋まき(9〜11月)は30〜60日で収穫します。冬まき(12〜2月)は、トンネルやべた掛け資材で保温し、60〜90日で収穫できます。生育が早く収穫遅れになりやすいため、1週間置きに少しずつまいて、長く収穫を楽しむのが良いでしょう。
[畑の準備]種まき2週間前に1平方m当たり苦土石灰100gをまいて畑をよく耕し、1週間前に化成肥料(NPK各成分で10%) 100gと堆肥2〜3kgを施し、土とよく混ぜておきます。幅90cmの栽培床を作り、畝に直角に条間15〜20cmの種まき溝を切ります。このとき、まき溝は支柱や木板を土に押し付け、溝を付けると深さが一定になります(図1)。
[種まき]種が重ならないように1cmくらいの間隔でまき、土を軽くかぶせておきます。種まき後はべた掛け資材を使い、乾燥や強い雨を防ぐと同時に害虫の予防にも有効です。被覆は収穫の5〜7日前に取り除きます(図2)。
[間引き]初めは、本葉が見える頃に子葉の重なっている部分を間引きます。その後、葉が触れ合う程度に間引き、最後に5〜6cm程度の間隔にします。間引き後は株がぐらつくのを防ぐため、株元に土寄せします(図3)。
[病害虫の防除]生育期間が短いので、農薬の使用は生育初期に限ります。不織布のべた掛けやネット栽培によりアブラムシ、コナガなどの害虫の侵入を防ぎます。
[収穫]草丈20〜25cm程度で根を付けて抜き取り収穫をします。収穫が遅れると葉が堅くなり、食味も落ちてしまいます。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。