広報誌「さいたま」2021年5月 No.254より
園芸研究家●成松次郎
野菜の中でも、暑いほど生育が旺盛なゴーヤーは特有の苦味が特徴の夏の健康野菜です。苦味の成分はモモルデシンという物質で、胃液の分泌を促し食欲を増進し、栄養成分ではビタミンCが特に多く、カロテンとミネラルも豊富です。
[品種]
果実の形状と色で、濃緑色で中長型の「えらぶ」(八江農芸)、短太型の「沖縄あばしゴーヤー」(フタバ種苗)など、白い果実の品種もあります。
[畑の準備]
日当たりの良い場所を選び、事前に1平方m当たり苦土石灰100gを散布し、植え付けの1週間前には化成肥料(NPK各成分10%)200gと堆肥2kgを全面散布し、よく耕しておき、120cm幅のベッドを作ります。
[苗作り]
種の皮は堅く吸水しにくいので、ペンチで傷を付け1晩水に浸して十分吸水させます。高温性で、発芽に25度以上は必要なので、5〜6月まきが適します。種まきは、直径9cm程度のポリポットに3粒まき、本葉1〜2枚の頃に1本に間引き、本葉3〜4枚の頃に植え付けます(図1)。
[植え付け]
条間80〜90cm、株間80〜100cmに植え付けます(図2)。
[支柱立て]
つる性なので早めに支柱を立て、これに誘引します。支柱は合掌式に組み、ネットを張れば、つる先が絡まり安定します。初期につるを誘引し、後は放任でもたくさんの果実を収穫できます。コンパクトに育てるには、親づるを4〜5枚で摘心し、脇から出る子づるは5〜7枚で摘心して孫づるを出させます。なお、生育は大変旺盛なので、日よけ棚作りにも向いています(図3)。
[追肥]
果実がなり始めたら、月に1〜2回、1株当たり10gくらいの化成肥料を株の周囲に施します。
[収穫]
開花後15〜20日で、果実の形が完成し、果皮につやが現れるまでに、早めに収穫します。取り遅れると、果実は黄〜だいだい色に変色し、完熟するとアケビのように果実が割れ、赤い種が見えてきます。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。