広報誌「さいたま」2021年9月 No.258より
園芸研究家●成松次郎
中央アジア原産と推定されるヒガンバナ科の多年生草本で、生育適温は15〜20度、暑さに弱く、寒さには比較的強い野菜です。栽培は秋に種球を植え付け、初夏に収穫します。
強い香りの成分は硫化アリルで、体内で豊富に含むビタミンB1と結合すると疲労回復効果があります。
[品種]
温暖地向きでは「平戸」「嘉定」「上海」など、「ニューホワイト六片」は寒冷地から弱暖地にも向く品種です。
[畑の準備]
植え付け2週間前までに、1平方m当たり苦土石灰200gを施して土に混ぜておき、1週間前に化成肥料(NPK各成分10%)100gと完熟堆肥を2kg施します。その後、幅70〜100cmの畝(ベッド)を作り、穴の間隔が15cm程度の黒マルチフィルムを張ります(図1)。
[植え付け]
9月上旬ごろに休眠が明けてくるので、種球を小片(鱗片:りんぺん)にばらし(図2)、寒冷地では9月中旬〜10月上旬、温暖地では9月下旬〜10月中旬に植え付けます。小片頂部を上にマルチ穴(15cm間隔)に深さ5cm程度に浅く植えます(図3)。
[わき芽かき]
芽出し後に1株から2芽以上出たときは、生育の良い1芽を残して、手で早めにかき取ります(図4)。
[追肥・花蕾(からい)摘み]
成長が再開する翌春2月と3月に1平方m当たり化成肥料50g程度を追肥しますが、マルチ栽培では所々穴を開けておきます。とう立ちしてつぼみが付いたら、球の肥大に影響があるため花蕾を早めに摘み取ります。畑の乾燥に弱いため、特に春先からの灌水(かんすい)が必要です。
[収穫]
初夏になり、葉が半分くらい枯れたら、晴天日に抜き取って根を切り落とし、畑で2〜3日乾かします(図5)。その後、茎を30cmほど残して切り取り、10球程度を束ねて風通しの良い軒先などにつるします(図6)。
※関東南部以西の平たん地を基準に記事を作成しています。