広報誌「さいたま」2023年3月 No.276より
今年も田植え準備の季節を迎えました。田植え前後の管理のポイントを紹介します。
土づくりの基本は、稲ワラや籾殻のすき込み、堆肥の施用、土壌改良資材(特にケイ酸資材)の施用等です。特に期待した収量が得られない水田では、土づくりの基本を励行することで、地力の回復を図り、収量の向上を目指しましょう。
作土深15cmを目標に深耕を心がけます。深耕により根域が拡大し、根張りが良くなり生育後半まで光合成量が維持できることで夏期の高温障害を回避し、玄米品質・収量の安定につながります。また、耕うん・代掻き時に田面を均平化することで、適正な水深が保てるようになり除草剤の効果を確保することができます。
浸種は、種子容量の2倍程度の水量で行い、水温10~15℃とし、積算温度が約100℃になるまで続けます(浸種の目安は10℃で10日間、15℃で7日間)。浸種期間中は種籾の酸欠を防ぐため2~3回水を交換します。
催芽は、30℃を目標に1~2日間、ハト胸状態の籾が80%以上になるまで保温します。
播種後、芽が1cmくらいになったら日中20~25℃・夜間15~18℃とし、日中の強日射時は遮光、夜間は保温をします。かん水は午前10時までに行います。
草丈が4cmくらいになったら、苗を外気に慣らすため、日中15~20℃・夜間10~15℃で管理します。水管理は1日1回、午前中に十分にかん水し、苗が大きくなり床土が乾いたり、葉が巻き始めた場合には追加のかん水を行います。
水稲除草剤の効果を十分に発揮させるには、除草剤処理後最低でも3~4日間は、湛水状態を保つ必要があります。また、ジャンボ剤、豆つぶ剤やFG剤のように自己拡散する除草剤を散布する際は、水深が浅いと薬剤の拡散が不十分となり、除草効果の低下の原因となるので6~7cm以上の水深を確保したうえで水の出入りを止めましょう。
苗立枯病は異なる数種類の菌(カビ)が原因で発生します。これらの菌は、土壌や育苗箱等の育苗資材が主な伝染源です。対策として、育苗箱等の育苗資材はよく洗浄し、イチバンまたはケミクロンGで消毒します。特に、温湯消毒した種籾は苗立枯病菌が繁殖しやすいので、育苗資材は必ず消毒してください。なお、温湯消毒後の種籾をタフブロック等の微生物農薬(農薬使用回数にカウントされない)で種子消毒することも苗立枯病対策に有効です。
イネミズゾウムシや縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカ等の害虫対策やいもち病等の病害対策には育苗箱処理剤による防除が効率的です。箱処理剤は、栽培品種やその地区・作型で問題となる病害虫の種類と発生量を考慮して選択しましょう。
スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の発生田では、水深の深い部分ほど貝の活動が活発でイネの被害が集中します。このため、耕うんや代掻き時には、圃場の凹凸をなくすように作業を行います。また、田植え後は、浅水管理とし本貝の活動を抑制しましょう。
水稲用一発肥料は、プラスチック等で肥料をコーティングしています。肥料成分が溶出した後のプラスチックの殻が河川や海へ流出することが問題となっています。このため、水田内に残ったプラスチック殻は水田から流出させないようにしましょう。その方法は、浅水で代掻きを行い、移植前の落水は自然落水を主としましょう。強制落水を行う場合は、水尻にネット等を設置してプラスチック殻を収集します。
広報誌「さいたま」2023年2月 No.275より
埼玉県では春先の少しずつ暖かくなる頃から春じゃがいもの植え付け適期に入っていきます。良い種いもを準備し、作り方のポイントを確認しながら収量アップを目指しましょう。
じゃがいもは病害虫に弱い作物で、種いもの良し悪しが収量や品質に大きく影響します。種いもは毎年更新し、必ず検査に合格した種子用の種いもを使うようにしましょう。品種は古くから知られている「男爵」「メークイン」の他、「キタアカリ」(粉質で良食味)や「インカのめざめ」(甘味強く良食味)、「アンデス赤」(紅色の皮が特徴)など様々な品種が流通しており、用途にあわせて選択しましょう。購入した種いもは乾燥、通気不足、濡れなどに注意し、できるだけ涼しい環境(2℃以上)で保管しましょう。
植え付け前に芽出しをおこなった方が、安定した収量・品質が得られます。種いもを明るい乾燥条件下で加温(6~20℃)して萌芽を促し、光を当てて3~5mm程度の丈夫な芽を育てましょう。
大きい種いもは1片が30~60g程度になるように、かつ、各片に正常な芽が複数個均等につくように切り分けます。芽は頂部に多いため、縦に切り分けるようにします(図1)。病気の蔓延を予防するため、切断に使用する包丁はできるだけ毎回消毒するようにしましょう。切った種いもは風通しの良い場所に置き、切り口を乾かしましょう。
関東での春じゃがいもの植え付け時期は2月下旬~3月とされていますが、その年の気温・天候、植え付け場所等により調整しましょう。あまりに早く植え付けすると、地温が低く芽が伸長してこない可能性がある一方、植え遅れるといもの生育期間を十分に確保できずに肥大に影響したり、生育後半に病害が発生し収量が減少する可能性があります。
植え付ける際は、排水の良い場所を選び、うね間70cm程度、株間30cm程度で種いもの切り口を下に向けて植え付けましょう(図2)。前作で同じナス科のトマトやなすを栽培した畑や、ほうれんそう等を栽培し石灰が多くなっている畑は避けるようにしましょう。植え付け後は適宜土寄せをおこない、いもの表面が光に当たらないように注意しましょう。
広報誌「さいたま」2023年1月 No.274より
小麦の播種時期である昨年11月は、気温が平年よりやや高く推移しました。また、降水量は、上中旬は少雨に経過しましたが、下旬にまとまった降雨がありました。このため、JAさいたま管内の適期に播種された小麦の出芽・苗立ちは概ね順調で、その後の生育は平年並~やや進んでいます。ここでは、これからの小麦の栽培・病害虫管理のポイントについて紹介します。
踏圧は、①霜柱による根の浮き上がりを防ぐ、②生育の進んだ茎の生育を止め、生育を揃える、③分げつの発生を促進する、などの効果があります。小麦が2葉期を過ぎたら年内に1回、その後、茎立ち前までに数回の踏圧を実施しましょう。
小麦は栽培期間が長く、肥料切れを起こしやすい作物です。「さとのそら」では、全量基肥栽培を除き、追肥により品質・収量の向上を図ります。「さとのそら」の追肥は、茎立ち期直前(3月上中旬)に窒素成分で3~4kg/10aの追肥を行います。なお、タンパク質含量の向上には出穂2週間前(4月上旬)の追肥が有効です。
生育期に雑草が繁茂した場合は、スズメノテッポウに対してはハーモニーDFを、広葉雑草ではアクチノール乳剤やエコパートフロアブルなどを散布します。一方、ネズミムギ(イタリアンライグラス)に対しては、小麦3葉期までにリベレーターフロアブルを散布すると発生数を抑制できます。なお、薬剤により使用時期・使用量が異なりますので、確認のうえ使用してください。
「赤さび病」は、4月中旬頃から発生し、多発すると収量および品質が低下します。防除適期は4月上旬から5月上旬です。防除薬剤にはアミスター20フロアブル、カナメフロアブル、シルバキュアフロアブルなどがあり、これら薬剤は「うどんこ病」に対しても効果があります。
「赤かび病」は、小麦の各部位に発生しますが、穂での発生が最も問題となります。本病菌は人や家畜に中毒を起こすカビ毒を産生するため、赤かび粒が混入すると出荷ができなくなるので、本病の防除は必ず実施する必要があります。開花期(出穂後7~10日頃)が最も感染しやすい時期ですので、開花期に防除を行います。また、降雨等による湿潤条件が本病の発生を助長するため、小麦の開花期後に曇雨天が続き多発のおそれがある場合は、開花期の10~14日後頃に追加防除が必要となります。防除薬剤にはトップジンM水和剤、シルバキュアフロアブル、ストロビーフロアブルなどがあります。
害虫類では、出穂後の穂にアブラムシ類が多発すると登熟不良となり品質が低下します。多発生のおそれがある場合は防除が必要です。「アブラムシ類」の防除薬剤にはトレボン乳剤やモスピラン水溶剤などがあります。
コムギ赤さび病
コムギ赤かび病
広報誌「さいたま」2022年12月 No.273より
右図:短梢せん定のイメージ図
結果枝は4月以降に発芽して伸長する。
結果枝10本に1本は着果させず空枝にして養分供給する枝とします。(黒:主枝、青:結果母枝、赤:結果枝)
(1)通常は基部の1芽を残します。結果枝の誘引を考えると、残す芽は横芽が好ましいです。
(2)切り口は癒合剤を必ず塗布しましょう。癒合剤は枝の枯れこみや、病気の侵入を防ぎます。
(3)発芽後は、新梢の勢力等見ながら基部の芽(横芽又は上芽)を優先して残しましょう。
(1)1芽が欠損している場合
前後の結果母枝に2芽残しましょう。
(2)連続して欠損している場合
先端側の結果母枝を長く切り、主枝に沿わせるように誘引して芽を活用しましょう。
主枝の延長枝は、伸長量の約1/2の長さで切除します。伸長量が多い場合も20芽以下にしましょう。また、延長枝部分は2月下旬から3月上旬頃に芽傷を入れて、発芽を促しましょう。
広報誌「さいたま」2022年11月 No.272より
農業経営の法人化には、①農業経営の高度化・効率化、②対外信用力の向上、③優れた人材の確保、④経営継承の円滑化(相続対策)、⑤税の軽減 など、多くのメリットが期待できます。「法人化」は経営を発展・継続させるための『手段』であり、特別なことではありません。「ウチは関係ない」と思わず、先ずは検討してみませんか?
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主な専門家の項目 | 主な相談内容 | 費用 | 備考 |
---|---|---|---|
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行政書士・司法書士 | 法人化メリット、手続き など | ||
弁理士 | 商標登録 など | ||
中小企業診断士 | 経営分析、経営計画、承継 など | ||
デザイナー | 販売促進資材、ホームページ、6次化商品デザイン など |
※相談内容等によっては、ご希望に添えない場合もありますのでご了承ください。
「6次産業化」とは、農業者が農産物の生産、加工、流通販売まで主体的に行い、付加価値を生み出そうとするものです。
1次(農産物の生産)×2次(加工)×3次(流通・販売)=6次産業化
6次産業化の取組みには、① 農業者が生産から販売まで全て取り組む「単独型」 と ② 2次・3事業者と連携して取り組む「連携型」があります。
農産加工品を自分で作ってみたい方、委託加工を考えている方、6次産業化の取組に関心をお持ちの方は、さいたま農林振興センターまでご相談ください。
6次産業に取り組む方への支援内容
・新商品開発や販売方式に取り組むための計画作成支援
・計画実現に向けた各種相談
・6次産業化に向けた研修会の実施 等
広報誌「さいたま」2022年10月 No.271より
今年も様々な異常気象が発生しています。基本技術を励行し、気象災害に強く、収量品質の良い小麦栽培を心がけましょう。
土壌pHが酸性(pH6.0より下)になっていませんか? 小麦ではpH6.5(6.0~7.0)を目安に石灰質資材で酸度矯正を行いましょう。完熟たい肥の施用(1t/10a)や稲わらのすき込みで地力維持に努めましょう。
排水不良による湿害は、発芽不良など収量・品質低下の大きな要因です。弾丸暗きょで雨水の地下浸透を促すとともに、ほ場の外周やほ場内に5~10m間隔で溝を掘り、ほ場表面の排水を良くします。掘った溝は必ずほ場外の排水溝に接続してください。
種子は必ず更新し、種子消毒を行いましょう。は種適期は11月10日~25日です。早まきは過繁茂につながります。逆に遅すぎると収量の低下やヤギシロトビムシの被害を招きます。は種量はドリルまきで6~8kg/10aを基準にし、天候不順等によりは種作業が遅れた場合は、は種量をやや多めにして苗立ち数を確保します。
「さとのそら」の生育は後まさり型なので追肥をしっかりと施します。基肥は窒素成分で8kg/10a(例:化成肥料14-14-14なら60kg/10a程度)、追肥は窒素成分で3kg/10aを基準にします。追肥時期は茎立ち直前の3月上旬が目安です。一発肥料を用いる場合、窒素成分で10~13kg/10aを基準にします。なお、土壌分析を行い施肥量は調整してください。
凍上害防止や耐倒伏性向上等のため、本葉が3枚以上展開したら、年内に1回、茎立ちする前までに2回を目標に行いましょう。
除草剤は、は種後の土壌処理剤散布を基本に適期に散布します。は種後・散布前の土壌鎮圧は除草剤の効果を安定させます。ヤエムグラやカラスノエンドウなどの広葉雑草が発生している場合は茎葉処理剤を使用します。
なお、前作でカラスムギが多発したほ場では、可能な範囲では種を遅らせ、それまでに発芽したカラスムギを耕うんにより枯らします。場合によっては休耕し、耕うんや非選択性除草剤でカラスムギの密度を減らすなどの対策も検討しましょう。
表1 小麦の除草剤(土壌処理剤)例
農薬名 | 使用量/10a | 使用時期 | 使用回数 |
---|---|---|---|
ボクサー | 400~500ml | は種後~麦2葉期(雑草発生前~発生始期) | 2回以内 |
ガレース乳剤 | 200~250ml | は種後出芽前(雑草発生前) | 1回 |
リベレーターフロアブル | 60~80ml | は種後~麦3葉期(雑草発生前~イネ科雑草1葉期まで) | 1回 |
クリアターン細粒剤F | 4~5kg | は種直後(雑草発生前) | 1回 |
【令和4年8月30日現在の登録内容で作成】
広報誌「さいたま」2022年9月 No.270より
野菜畑の土づくりは有機物の施用が基本で、具体的には堆肥の施用を励行していると思います。しかし、家畜糞堆肥は施用効果が高い反面、供給元の畜産農家の減少や散布労力負担増などを背景に堆肥の施用量は減少傾向にあり、今後土壌が劣悪化することが心配されています。そこで、堆肥の代替として有機物の補給効果の高い緑肥作物を作付する土づくりにも積極的に取り組みたいものです。緑肥作物には春まきと秋まきと大別されますが、これからのシーズンに取り組める秋まき用緑肥作物の種類と効果的な利用方法ご紹介します。
春まき用緑肥作物ではイネ科のソルガム類など旺盛な生育量で有機物の供給効果の高い種類が多いですが、秋まき用緑肥作物は越冬して春に成長した茎葉部を有機物として供給する緑肥類で有機物の供給効果に加え土壌の透水性の改善や窒素の供給などの効果を持つ種類があります。
秋まき用はイネ科とマメ科に大別され、それぞれの種類・品種の作付効果は表1のとおりです。イネ科の緑肥作物はエンバク類とライムギ類ですが、いずれも冬期に土壌表面を被覆して生育するため、表土の風食や雑草抑制等の土壌保全的効果が高く、秋まき用の中では生草収量を確保しやすいです。また、作付けによってアブラナ科野菜に発生する根こぶ病やダイコン・ニンジン等の発生するキタネグサレセンチュウの密度抑制効果の高い種類もあるので、これらの土壌病害虫の被害が大きいほ場では作付をお薦めします。マメ科の緑肥作物にヘアリーベッチとクリムソンクローバがありますが、いずれも越冬中も茎葉が土壌表面を覆う様に生育するため春先の雑草を抑制する効果が高く、根部に共生する根粒菌が空中窒素を固定し、鋤込み後には土壌中に20kg/10aほどの窒素分を供給すると言われています。上手に利用すると窒素肥料を削減できるので、肥料高騰対策として活用しましょう。また、いずれの緑肥作物とも根が土中深くまで伸長して土壌に亀裂を作って土壌の透水性を高める効果も期待できます。
このほか、アブラナ科のシロガラシやチャガラシ等には、茎葉や根部に含有する辛味成分がネギ類に発生する黒腐菌核病を殺菌するなど土壌病害虫の増殖を抑制する品種もあるので、利用すると良いでしょう。
適正な土づくりと施肥を行っているほ場に輪作物として緑肥作物を作付すれば、以上の効果を得ることは可能ですが、今まで不耕作地であったり客土を行った養分の少ないほ場に作付して土づくりを行う際には、土壌診断を行って適正な土壌pHの矯正や不足養分を補給するなどの対策を行ってください。管内でも土壌が酸性のために生育不良となる事例が見られています。施肥は、前作物の養分残存量が多い場合には無施肥で栽培できますが、休閑期間が長い場合には、窒素・りん酸・加里とも各5kg/10a程度施用してください。
播種は、手押し式の野菜播種機等を利用して条播する方法と手まきや散粒器で散播する方法がありますが、いずれも覆土の厚さは種子の大きさの3~5倍とし、十分に鎮圧を行って土壌水分を確保することが発芽を良好にするポイントです。適期に播種することも大切で、播種が遅れると発芽と初期生育が悪くなって雑草繁茂の影響を受けやすくなるので守ってください(特にエンバク類)。
鋤込み時期は、4月~5月となりますが、イネ科では出穂始期、マメ科では開花始期を過ぎると分解の時間がかかって後作の野菜の生育に影響が出るため、それ以前に刈取り・細断・鋤込み作業を行いましょう。もし鋤込みから作付までに期間がある場合には、ハンマーナイフモア等を利用して細断して土壌表面に散布して鋤込みするまで乾燥・放置して雑草の発生を抑制にする利用方法もお薦めです。
区分 | 作物種類 | 品種名 | 緑肥作物の作付効果 | 播種適期 (月旬) |
備考(有効な病害虫等) | |||||
有機物補給 | 窒素固定 | 透水性改善 | 土壌保全 | 景観美化 | 病害虫抑制 | |||||
イネ科 | ライムギ | ダッシュ | 〇 | 〇 | 〇 | ◎ | 9中~11中 | 根こぶ病 | ||
R-007※ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | 9下~12中 | キタネグサレセンチュウ | ||||
エンバク野生種 | ニューオーツ,ソイルセイバー,ヘイオーツ,ネグサレタイジ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | 10中~11下 | 根こぶ病,キタネグサレセンチュウ,キスジノミハムシ | |||
エンバク | ヒットマン※ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | 10中~11上 | サツマイモネコブセンチュウ(春まき) | |||
マメ科 | ヘアリーベッチ | まめっこ,まめ助 | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 9上~11上 | |||
クリムソンクローバ | くれない,シストル,デクシー | 〇 | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | ◎ | 9上~11上 | ダイズシストセンチュウ | |
アブラナ科 | カラシナ類 | 地力,辛神,黄花のちから | ◎ | ◎ | 〇 | ◎ | ◎ | 10中~11中 | 黒腐菌核病,サツマイモネコブセンチュウ |
注1)効果の標記:◎ 非常に高い、〇 高い
注2)※マークのライムギ・エンバクの品種:アブラナ科野菜に発生する黒斑細菌病に耐病性を持つ
広報誌「さいたま」2022年8月 No.269より
事前にコンバインや乾燥機等の「点検」、「清掃」を行いましょう。
早期落水は品質低下や減収を招く恐れがあるので、出穂30日までは間断かん水を行い、出穂30日以降に落水するようにしましょう。
刈取り適期は「登熟積算温度※」、「帯緑色籾割合」、「出穂後日数※」を参考に、総合的に判断します。
(表・図参照)
品種名 | 登熟積算温度(℃) | 帯緑色籾割合(%) | 出穂後日数(日) |
---|---|---|---|
コシヒカリ | 950~1150 | 15~10 | 34~42 |
彩のかがやき | 1000~1250 | 50~25 | 42~55 |
彩のきずな | 900~1200 | 50~10 | 32~44 |
※登熟積算温度・・・出穂期からの日平均温度を足し算し続けた温度
出穂後日数・・・田んぼ一枚の中で40~50%の株が出穂した状態(出穂期)からの経過日数
図1 帯緑色籾の見分け方
帯緑色籾…籾にわずかでも青みが残っている籾のこと
図2 帯緑色籾割合の見分け方
1穂の中で青みが残っている籾の割合を確認する。
(帯緑色籾割合=1穂中の帯緑色籾数/1穂籾数×100)
乾燥仕上げの水分は14.5~15%に調整しましょう。また、高水分もみを高温乾燥すると、胴割れ米等が発生し、品質低下の原因となるので送風温度は40℃以下にしましょう。
乾燥終了後は十分な放冷を行ってから、籾すりを行ってください。
使用するライスグレーダーの網目は1.8mm以上のものを選び、適正な流量を守り整粒歩合を高めましょう。
イネ収穫後のひこばえ(再生株)はイネ縞葉枯病を媒介するヒメトビウンカ(害虫)等の生息場所となるため、収穫後は速やかに耕うん・すき込みを心掛けましょう。
広報誌「さいたま」2022年7月 No.268より
埼玉県さいたま農林振興センター農業支援部(電話048-822-1007)から、来年度農業大学校の学生募集についてお知らせいたします。
埼玉県農業大学校は、農業及び農業関連産業の担い手養成を目的に、農業の生産から販売まで一貫して基礎から学ぶことができる実習を主体とする専修学校です。
将来の農業の担い手を目指す仲間たちとともに、農業の基礎知識と基本的な栽培技術を身につけて、農業分野での活躍に向けた一歩を踏み出しませんか。
課程 | 学科名 | 定員 | |
---|---|---|---|
2年課程 | 野菜 | 30名 | 90名 |
水田複合 | 5名 | ||
花植木 | 15名 | ||
酪農 | 5名 | ||
1年課程 | 短期農業 | 35名 |
大学校では個別見学をお受けしておりません。日曜オープン見学会・個別相談会で見学・確認をお勧めします。
参加時には、検温、マスク着用などご協力願います。
入学願書など出願に必要な書類は埼玉県農業大学校ホームページからもダウンロードできます。
詳細は大学校ホームページでご確認ください。
入試区分 | 出願期間 | 試験日 | |
---|---|---|---|
推薦入試 | 令和4.10.1(土)~10.11(火) | 令和4.10.27(木) | |
一般入試 | 前期 | 令和4.11.1(火)~11.11(金) | 令和4.11.28(月) |
後期 | 令和5.1.4(水)~1.11(水) | 令和5.1.26(木)※ |
※ 一般入試前期で定員が満たされた専攻は、一般入試後期の試験を実施しない場合があります。定員が満たされない専攻については、追加募集を行う場合があります。最新の情報については、大学校ホームページでご確認ください。
・開催 7月17日、9月4日、10月2日、11月6日、12月18日(いずれも日曜)
午前の部(見学会:概要説明、校内見学)10時~12時
午後の部(7月は見学会、9月以降は個別相談会で希望者のみ)13時30分~15時30分
・申込 電話:大学校 048-501-6845(土日、祝日を除く8時30分~17時15分)
E-mail:大学校ホームページから電子メールでの申し込みも可能です。
〇このほか、大学校での実習体験講座(8月26日)、大宮駅周辺での夜間相談会(8月19日19時)を予定。詳細は大学校ホームページでご確認ください。
広報誌「さいたま」2022年6月 No.267より
水稲は出穂後20日間の日平均気温が26℃前後を超えると、白未熟粒(乳白粒、背白粒、基部未熟粒)や胴割粒が発生し、玄米品質が低下します。これは高温により籾へのデンプンの転流・蓄積が阻害されるためで、根の活力低下と登熟期の養分不足がこれら高温障害を助長します。対策として根の活力を維持するため、中干しを確実に行い、穂揃い期以降は間断かん水を行います。また、ケイ酸は根の活性を維持するので、基肥にケイ酸資材を施用していない水田では、けい酸加里などを出穂30~40日前頃に施用しましょう。このほか、出穂後に養分不足にならないよう穂肥は確実に実施し、基肥一発肥料の水田でも葉色が淡い場合は穂肥を行いましょう。さらに、早期落水は品質低下を助長するので、可能な範囲で落水を遅くするとともに刈り遅れに注意してください。
7月~8月に栽培がスタートする秋冬どりの多くの野菜は、比較的耐寒性はありますが、発芽・生育適温が15~25℃のため夏期の播種・育苗にあたっては気温と地温の両面から温度上昇を防ぐ対策が最も大切です。
播種後、発芽揃いまでは、発芽適温に近づける様に、播種後は適度な遮光を行って、地温の上昇を抑える管理に努めてください。遮光資材の遮光率は30%前後が適していますが、曇雨天時や発芽揃い後に被覆したままにすると軟弱徒長した生育となるため適宜取り除くなどして日照不足にならない様に留意しましょう。
直まきするニンジンやダイコンなどでは、遮光資材は白寒冷紗や白色ネット資材を直がけ又はトンネルで利用すると良く、小面積では切った稲わらやもみ殻で地表を覆う方法も効果的で、土壌の固結や乾燥防止効果も期待できます。育苗を行うキャベツやブロッコリーなどでは、遮光資材は育苗ハウスやトンネルの屋根面に展張して使用した方が昇温抑制効果が高く、また育苗ポットやセルトレイは地表に直置きしないで、コンテナ等を利用して簡易の育苗ベンチを作ってその上で管理を行うと通風が良好になって、硬い苗を育成できます(図1)。
なお、育苗中のかん水管理は、高温となる日中のかん水を避け、早朝か夕方に行うようにしましょう。ただし、セルトレイの育苗では夕方にかん水量が多いと軟弱徒長となるので萎れ防止程度に留めてください。
図1 セル成型苗の簡易育苗ベンチの設置例
雨よけで管理、高温期には遮光資材(遮光率30%)を被覆、
換気部には防虫ネットを展張
高温期にゲリラ豪雨等の集中豪雨によりほ場が冠水したり滞水すると、ネギやブロッコリー等では湿害で根腐れを起こしたり、病害が多発しやすくなります。排水不良や大面積のほ場では、雨水が停滞しないよう作付までにほ場の周囲に排水溝を設置するなどの準備を行い、大雨時には速やかな排水作業を行いましょう。特に、水田から転換したほ場や大型農機によって耕盤(圧密層)ができているほ場では心土破砕や高うね栽培を行って影響を少しでも緩和するよう努めてください。
なお、苗の定植や中耕・土寄せ作業は適期に行うことが大切ですが、高温・多雨の最中に行うと根を傷めて生育が抑制されるので猛暑時の作業は見合わせたり、温度が低下する夕方行うなど臨機応変に対処しましょう。
高温等の気象情報に留意しながら、農作業は水分補給と休憩を取りながら行うなど熱中症対策を講じましょう。
広報誌「さいたま」2022年5月 No.266より
サツマイモ基腐病は2018年に日本国内で初めて確認され、2021年には関東でも発病が確認されました。
サツマイモ基腐病は株元が黒変し(図1参照)、病気が進行すると地上部の葉は枯れ、さつまいものなり首部分から腐敗します。
まん延を防ぐポイントは「持ち込まない・増やさない」の2点です。
まだ発病が確認されていないほ場では、病原菌を持ち込まないこと、発病が確認されたほ場では病原菌を増やさないことが重要です。
図1 株元黒変の様子
苗は、基腐病に登録のある農薬(表1参照)で苗消毒を行いましょう。
薬剤名 | 希釈倍数 | 使用時期 | 使用方法 | 使用回数 | FRACコード |
---|---|---|---|---|---|
ベンレート水和剤 | 500~ 1000倍 |
植付前 | 30分間苗基部浸漬 | 1回 | 1 |
ベンレートT水和剤20 | 200倍 | 植付前 | 30分間さし苗基部浸漬 | 1回 | M03、1 |
前年に基腐病が発病したほ場の利用は避けましょう。
基腐病菌は水によって株から株へ広がる病気のため、排水性の悪いほ場の利用は避けましょう。
定期的にほ場を観察し、発病株があった場合、速やかにほ場外に持ち出して適切に処分しましょう。
発生株除去後、周辺株への感染を予防するために、表2を参照して薬剤散布を行いましょう。
発生ほ場で利用した農機具や資材は、消毒や洗浄を十分に行いましょう。
薬剤名 | 希釈倍数 | 使用時期 | 使用方法 | 使用回数 | FRAC コード |
効果 |
---|---|---|---|---|---|---|
Zボルドー | 500倍 | ― | 散布 | ― | M01 | 予防 |
ジーファイン水和剤 | 1000倍 | 収穫前日まで | 散布 | ― | NC、 M01 |
治療 |
アミスター20フロアブル | 2000倍 | 収穫14日前まで | 散布 | 3回以内 | 11 | 治療 |
疑わしい症状を確認した場合は、JAさいたまやさいたま農林振興センターにご連絡ください。
広報誌「さいたま」2022年4月 No.265より
まもなく田植えの季節を迎えます。ここでは、田植え前の作業のポイントについて紹介します。
耕起は、根域を拡大しイネの活力を高めるため、作土深15cmを目標に行いましょう。また、水稲除草剤をしっかり効かせるには、除草剤処理後3~4日間は3~5cm程度の水深を保ち、土壌表面に薬剤の処理層を形成させることが必要です。そのためには田面を均平にし、漏水を防ぐほ場作りを心がけてください。
種子は、必ず温湯または種子消毒剤により消毒してください。温湯消毒は60℃の温湯に10分間浸漬します。種子消毒剤には化学合成農薬と微生物農薬があり、どちらも有効成分を十分に種籾に付着させることが安定した効果を得るポイントです。なお、種子消毒剤による消毒では廃液の河川等への流出には十分注意し、適切に廃棄してください。
浸種の水温は10~15℃程度とし、積算水温 100℃~120℃を目安に(水温10℃の場合で10~12日間、15℃では7~8日間)種子を十分に吸水させます。
ハウス内の育苗では昼間30℃以上、夜間は10℃以下にならいよう換気と保温に努めてください。
育苗中の水管理は、根張りを良くするため、水はひかえめに、乾かしぎみに管理します。かん水は午前中に床土全体に水がしみわたるようたっぷりとします。夕方のかん水は地温を下げ、根の張りを悪くするので避けましょう。
苗立枯病は、異なる数種類の病原菌が原因で発生し、いずれの病原菌も土壌中や被害植物の残渣中で生存します。このため、育苗箱はよく洗浄し、資材消毒剤のイチバンなどで消毒します。また、育苗中の温度や湿度の急激な変化は苗立枯病や生育障害の発生を助長するので、温湿度の管理に注意してください。
管内では近年、いもち病による減収が認められます。いもち病の伝染源は、感染苗の持ち込みや前作の被害残渣(稲わら・籾殻)です。昨年、いもち病が発生した地域ではいもち剤の入った育苗箱施薬剤を施用してください。また、補植用の余り苗は葉いもちの発生源となるので補植後直ちに除去・処分してください。
縞葉枯病は、ヒメトビウンカが媒介するウイルス病です。本病に感染すると株が枯死したり、穂の出すくみや不稔により減収します。本病に感染しやすい「コシヒカリ」や「キヌヒカリ」などでは、ヒメトビウンカに有効な育苗箱施薬剤を施用しましょう。
葉いもちの病斑